大富豪ララミー家のお抱え運転手の娘サブリナは、一家の次男でプレイボーイのヴィッドに憧れているが、彼は子供じみたサブリナには見向きもしない。彼女はパリに花嫁修行の旅に出て、洗練された大人の女性となって帰国する。ヴィッドはそんなサブリナに夢中になり、堅物の兄ライナスは一家の将来を守るため2人の恋愛を阻止しようとするが、彼もまたサブリナの魅力に惹かれてゆく。名匠ビリー・ワイルダー監督が三人のハリウッド・スターの魅力を遺憾なく発揮してコミカルに仕上げた快作。
マーガレット・サラヴァンとジョセフ・コットン主演のサミュエル・テイラーのヒット舞台『サブリナ・フェア』をブロードウェイで観たオードリー・ヘプバーンは自分の向けの企画だと感じてパラマウント社に映画化権を購入することを申し入れる。スタジオは映画化権を購入してヘプバーンに出演料として1万5千ドルを支払う。ライナス役にワイルダーはケーリー・グラントを希望していたが、グラントに断られたために、パラマウントとの出演契約を終えようとしえていたボガートが起用される。タフガイのイメージが強いボガートが、今作ではキュートな一面を披露するものの、彼は撮影前から自分が軽妙な今作にはふさわしくないと感じていただけでなく、共演のウィリアム・ホールデンとは39年の『前科者』で共演した時以来仲たがいしていた上に、ヘプバーンとホールデンにばかり気を配るワイルダーの態度が気に入らなかったので、ボガートは事あるごとにワイルダー、ホールデン、ヘプバーン、そして共同脚本家のアーネスト・レーマンに当り散らして、撮影現場には始終険悪なムードが漂っていた。また、脚本はグラントの主演を想定して書かれたものだった為に幅な書き直しが必要となり、書き直しは撮影中も続けられ、完成した脚本もなく、結末も決めずに撮影を始めたワイルダーのやりかたにもボガードは不満を持っていた。ワイルダーはヘプバーンをパリに行かせて彼女自身に衣装を選ばせるが、その時生涯の友となる当時新進のファッション・デザイナーであったユーヴェル・ド・ジバンシーと運命的な出会いをする。ジバンシーはヘプバーンのためにスーツと舞踏会でのイブニング・カクテル・ドレスの2着を提供して、他の衣装はパラマウント専属の衣装デザイナーだったイーディス・ヘッドが担当し、サブリナ・パンツや日本ではサブリナ・サンダル呼ばれるサブリナ・シューズなど普段着としても十分に通用する衣装をデザインする。これらの衣装は「サブリナ・ファッション」と呼ばれてファッション界にセンセーションを巻き起こし、ヘプバーンはトップ・モードの代名詞になる。しかしヘッドは映画でジバンシーとクレジットを共有する事を拒否し、彼女のみがこの作品でアカデミー衣装賞を受け取る。映画に対する批評家達の評価は二つに分かれるものの、観客からは絶大な支持を受けてその年の興行収入第三位を記録する。
95年にはシドニー・ポラック監督、ハリソン・フォード、ジュリア・オーモンド主演で『サブリナ』としてリメイクされ、ワイルダーが監修をつとめる。
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