倫理委員会
委員長 鹿野 哲(病理科科長)
勤医協中央病院の倫理委員会は、2000年7月に「患者の人権を守る」「共同の営みの医療」の病院理念に基づき設置されました。委員会のメンバーは医師、看護師をはじめ、検査・放射線・リハビリ・事務などの職員と、外部委員として、弁護士、教育者、宗教者、ジャーナリスト、患者団体の役員、セラピスト、勤医協友の会の方々に参加いただき、毎月定期開催しています。
倫理委員会では、2004年から毎年、全職員向けに臨床倫理検討会*1)や公開倫理委員会*2)を開いてきました。テーマとして、終末期医療をめぐるDNAR指示*3)や高齢者の胃ろう造設、告知やインフォームド・コンセントの在り方など、臨床現場のなかで起こっている倫理的な問題をとりあげ、検討してきました。こうした取り組みとともに「患者の権利宣言」や「職業倫理」など倫理規範、「『DNAR指示』に関する運用基準」「インフォームド・コンセントガイドライン」「遺伝子学的検査のガイドライン」など指針を整備し、日常医療の倫理行動指針としてきました。
また、全ての職員が倫理的視点を持って患者と関わって行けるよう、全職員対象の倫理講座を開催しましたが、この結果倫理問題を身近に感じられるようになり、倫理委員会の認知度も高まってきました。
昨年からは、倫理委員会にコンサルテーションの依頼が寄せられるようになり、実際に病棟に出向き、臨床倫理4分割法というカンファレンスを用い一緒に事例検討を行っています。職員の意識は確実に変化してきていると感じています。
今後「患者さんの最善の利益を考えよう、倫理問題を感じたら倫理委員会へ相談しよう」という気風がさらに高まるよう、倫理委員会の活動を発展させていきたいと考えています。
*1)臨床倫理検討会テーマ「終末期をめぐる問題についての症例検討会(2004)」「癌の告知には何が求められているのか‥家族が告知に反対する症例をめぐって(2005)」「終末期における食の問題‥よりよい胃ろう造設のあり方(2006)」「癌の終末期のおけるQOLを大切にしたアプローチについて考える(2007)」
*2)公開倫理委員会テーマ「終末期医療をおけるDNR指示の是非とあり方をめぐって(2004)」「DNAR指示に関する運用基準の試験運用から見えてきたこと(2005)」「インフォームドコンセントのあり方を考える(2006)」「臨床における倫理的問題に関するアンケートから倫理委員会の役割を考える(2007)」
*3)DNAR指示(Do Not Attempt Resuscitation):「突然の心肺停止状態に際し蘇生措置を行わない事前指示」。不可避的な心肺停止が生じた際、心肺蘇生措置を行わないように合意にもとづき主治医または担当医が事前に指示すること。具体的には、「突然の心肺停止に際して、人工呼吸、心臓マッサージ、気管内挿管(気管の中に気道を確保するための管を挿入すること)、蘇生に関わる薬剤の投与(カテコラミンなど)、直流除細動(電気ショック)を行わない」という意味である。