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a Symmetry 4 死んだ時のことはよく覚えている。肉体から意識が抜け出す感覚、妙に軽くなった身体への戸惑い、何よりも、まだ現世に在りたい、ただ強く在りたいという願いに応じて姿を変える魂に歓喜した。 ただ強く……俺の存在理由はそれだけだ。だから焔狐をすべて喰った。本能にのっとって、手っ取り早い方法を選んだ結果だ。 この話をするとキヨイはいつも不機嫌になった。馴れ合いの好きな奴だったから理解出来なかったんだろう。仲間は大事だ何だと説教されたもんだが、俺に言わせれば、甘っちょろい友情ごっこなんざ腹の足しにもなりゃしねえ。何かを従わせるのは信頼ではなく力だ。 まあ、たまには他の連中とつるむこともある、それは認める。だが仲間だ友情だと背中が痒くなるもんじゃあない。言うならば共同戦線を張っただけのこと、ゴウメイの旦那もキヌマもホルトも精々そんな関係だ。 俺には仲間なんていない。必要もない。いざという時頼れるのは自分だけだ。だから俺は強さを求める。何があろうとも切り抜けられる力を。足りなければ他人を使って成し遂げるまでだ。 だが、ハセはどうだったのだろう。あいつ自身に大した力はない。実際役に立ったこともない。捨てようと思えばいくらでも出来た。しかし、そうしなかったのはどうしてだ? まあ結局は自分から離れていったわけだが。……長いことキヨイといたからか、それが仲間というものだよ、とか何とか、あいつの声が聞こえてくるようだ。ああ薄気味悪りィ。 大体、ひとりでもやたら強いキヨイにそんなことを言われても説得力がない。そして、単体では弱い地蟲の連中は、何匹集まろうが屑みたいなもんだった。陽仙でさえこの有様、他の霊ならば話にもならない。 だが、あの空の案内屋連中は潰しても潰しても湧いて出てきた。ひとりが倒れればもうひとりが立ち上がる、その繰り返しだ。無縁断世かも分からない女のためによくもあそこまで戦えたもんだ。蜂は死を恐れない、だから何匹殺されようとも捨て身の特攻をかましてくる。だが、少しでも理性を持ってしまうと、そんな単純なことにさえ及び腰になる。まして頭のいい人間様ならなおのことだろう。そんなに大層な女なのだろうか。 ……これこそが人間の強さ、と、この時になってようやく気づいた。個々では弱いだけの存在、だからこそ徒党を組み、数で力を押す。一部が傷つけられれば残りが立ち上がる。信頼、なんて曖昧なもんで繋がっている。そしてそれを俺は持っていなかった、だから裏切られたというわけか。つまりキヨイは正しかったということだ。 ――君を見て人間は、人間願望、と名づけたのかな? ……ああ、思い出した。 ――かもしれねえな。だが、どんな力であろうとも手に入れる、それだけだ。 あの問いに、俺はこう答えたのだ。だから俺はハセを拾ったのだろうか。甘っちょろい友情ごっこをするために、信頼なんてもんを築くために? まったく、吐き気がするような話だ。久々にあいつを殴りたくなった。 back next Last up 07/11/12 |