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では多数決です、と告げる声が狭い病室に静かに響いた。 「関東で優勝できなかった原因は真田にあると思う人、はーい」 どこか楽しむように幸村は続け、彼と同時にこの場のほぼ全員がためらいなく手を挙げた。槍玉の真田と、彼を気の毒そうに眺める桑原ばかりが空気に馴染めずただ沈黙している。 「じゃあ真田には何か罰ゲームを」 「待て、待て幸村!」 だが真田は沈黙を破り、部屋の主に異議申し立てた。 「確かに土壇場で負けたのは俺が悪い、しかしだな、その、ならば赤也や蓮二も同じことだろう」 幸村の恐ろしさを身に染みて知っているからだろう、真田は珍しく必死だった。それだけ己の責任を感じているのだと桑原は思う、だが彼に口を出す権利はない。 「言い訳がましいぞ、弦一郎。赤也はあの不二が相手だったんだ、責任を求めるのは酷だろう」 「そうっスよ。柳さんだって、そんな差のある相手じゃなかったんだし」 水を向けられたふたりは同時に反論した。 「対して真田は一年生ルーキー、体格でも勝る相手だった。じゃあ何で負けたのかな? 言ってごらん?」 幸村は整った唇に浮かべた天使の笑みで真田をわずかに後ずさりさせた。桑原はその視界に入らないよう、隠すように小さく十字を切った。真田は、何も言い返せない。 「じゃあ罰ゲームの内容決めちゃおうか。ハイ仁王」 「女装で町内一周。化粧はしちゃるぜよ。柳生」 「出場停止になりますよ……校庭三百周が妥当では? 丸井くん」 「一週間おやつ抜き。俺って厳しいだろい。なあ赤也」 「いやそれが罰になんのは先輩くらいっスよ。やっぱここは熱湯風呂で。ねえ柳さん」 「なかなかいいアイデアだな。しかし風呂はコストがかかりすぎるから、やかんから直接、が適当だろう。どうだジャッカル」 「……優しくしてあげて下さい……」 次々と出されるその内容に真田は戦慄した。冷たい汗が背を流れ、妙な怖気が這い登る。こいつらは本当に仲間と呼べるのか、友とはこういうものか、そもそも友情の定義とは何なのか、何やら哲学めいた自問自答を繰り返すが、それは現実からのささやかな逃避であることは真田自身がもっともよく理解していた。 「何かもうね、皆、全ッ然面白くないよ」 腰かけたベッドからスリッパ履きの足を不満げにばたつかせ、幸村は唇を尖らせた。俺としてはね、彼は高らかに続け、真田は目を閉じ、心中で先立つ不幸を父母に詫びた。だが―― 「俺としては――、『次の試合で絶対勝つ』、これがいいと思うんだけど」 「異議なし」 「決まりだな」 ――自分の周りが予想外の結末に向かっていることに気づき、真田は目を開けた。ふと見れば、隣ではなぜか桑原が胸を撫で下ろしている。 「というわけで次は勝ってくるように。ああ、特別に、手塚と当たるようにしてやるよ」 ただし負けたらどうなるか分かってるよね、幸村は口に出さずにそう伝えた。真田は黙って頭を下げた。 * * * * * 7100hitを踏まれました某K氏に捧げる立海短編です。 実際の罰、というか自分への戒めは例のビンタだったわけですが、別口で幸村にもいじめられたに違いないと思ったのでこうなりました。皆で日ごろの鬱憤を晴らせばいいさ! Last up 07/10/16 |