1 興津家政専修学校(清水市興津)
堂々たる前面に隙だらけの側面が愛らしい。これを駿河帝国様式という(嘘です、もちろん)。
このような通りから見える部分だけを石やモルタルで西洋風にした木造建築物は、正式名称を何というのだろうか?
京都や東京(の一部)にはこういう建物がいくつも残っているので*そう違和感もないが、清水という場所ではずいぶん目立つ。
*無知をさらけだしてしまいました。木造町屋のファサードだけを銅板などで洋風にした建築物は「看板建築」(@藤森照信)といい、最近有名じゃんか・・・と書いていたが、ようやくご本人の本を調べたところ、戦前の商家建築の中でも一部のものを指す限定的用法のようなので、これは「駿河帝国様式」でもいいか。わりいっけね、素人のするこんだで。
2 海山堂本店(清水市興津)
1階はハイカラ、2階は日本、裏へ回ればトタン張り。中身はお菓子屋さん。
興津の町なみは十年ほど前までは古い建物が多かった。
正式名称を失念したので「ちょっとだけハイカラ」様式と呼んでおきます、とりあえず**。
**「ちょっとだけバウハウス」とか「なりきり表現主義」とか、悪くないネーミングだよなあ。
3 河村医院(清水市興津)
1や2のような隙だらけの建築もよろしいが、本格派モダーンもよろしい。
サイドビューにも隙無し。見事な仕事。
4 不明(横砂)

横砂のはずれ。元は何だったのか。
5 ハリウッド写真館(清水駅前)
清水で最も有名な「ちょっとだけハイカラ様式」の建築物。もちろん脇をしっかりトタンが固めている。
名は体を表す。ハリウッドという名前に「ちょっとだけハイカラ」様式の本質が余すところなく表出されている。
「寫眞館」のロゴまで含めて、3とは別の意味で隙が無い。この円柱というのは、一本置くだけで、建物の雰囲気がずいぶん不穏になって、いいですねえ。
2004年に建て替えで取り壊されてしまった。立て替えられたハリウッド写真館も軽くてモダンで南カリフォルニア好みで、それはそれでいいのかもしれない。

6 タチバナ美容室(清水市仲浜町)
清水の町なみは高度経済成長と景気のアップダウンで、いきあたりばったりに建てられたちぐはぐな建物が並ぶので気にもしていなかったが、この店もよく見るとただものではなかった。ピンク色の外壁、ベランダ部分、2階の屋根とひさしなど、ずいぶんアクの強いデザイン。その統一感の無さが、統一感の無い周囲にとけこんで見えなくなっていたのか。
花はタチバナ、男は次郎長。
7 中村商店(新清水駅近く)
第一印象はもっさりした建物だが、よく見ると、切れこんだ面に描かれた店名、アールをつけた出窓(写真では切れてしまって見えない)など、細部の切れ味鋭いデザインが光る。「ここんとこでっぱっちゃったけよ」「しょんないな、屋号でも入れときゃいいら」といった熟慮を経て、ものの五秒ほどで決定されたのであろうと想像される。隠れた「ちょっとだけモダーン」様式の逸品である。その他のディテールも見所あり。
KANEMAN NAKAMURAの英字ロゴ(右側の写真)もずいぶん格好いい。
現在は塗り替えられたので、この英字ロゴもなし。
8 旧清水市役所
設計は丹下健三。http://www.ktaweb.com/works/index.htmlで50年代の中に載っているので、そちらを参照のこと。同時代の他の作品と比べてもえらくバタ臭い印象。これももはや存在せず。