中野文庫 台湾総督府法院条例

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台湾総督府法院条例(明治31年律令第16号)

第一条 台湾総督府法院ハ台湾総督ニ直属シ民事刑事ノ裁判ヲ為スコトヲ掌ル

第二条 台湾総督府法院ヲ分テ地方法院及覆審法院トス但地方法院ノ管内ニ一若ハ二以上ノ地方法院出張所ヲ置クコトヲ得
2 地方法院及其出張所ノ設立廃止及管轄区域ハ台湾総督之ヲ定ム

第三条 地方法院ハ其ノ管轄区域内ニ於ケル民事刑事ノ第一審裁判及刑事ノ予審ヲ為ス所トス

第四条 覆審法院ハ台湾総督府所在地ニ一箇所ヲ置キ各地方法院ノ裁判ヲ覆審シ及裁判管轄ニ関スル申請ヲ裁判ス

第五条 各法院ニ判官ヲ置ク
2 判官ハ勅任又ハ奏任トス台湾総督之ヲ補職ス
3 裁判所構成法ニ於テ判事タルノ資格アル者ニアラサレハ判官タルコトヲ得ス

第六条 各法院ニ院長ヲ置ク判官ヲ以テ之ニ補ス
2 院長ハ其院一般ノ事務ヲ指揮シ其行政事務ヲ監督ス
3 上級法院ノ院長ハ下級法院ノ行政事務ヲ監督ス
4 院長事故アルトキハ上席判官其職務ヲ代理ス

第七条 地方法院ハ単独判官ヲ以テ総テノ事件ヲ審問裁判ス

第八条 覆審法院ニ一若二以上ノ部ヲ設ケ各部ニ部長ヲ置ク判官ヲ以テ之ニ補ス但院長ヲ以テ一部ノ長ニ充ツ
2 各部ハ部長一人判官二人ヲ以テ組織シ総テノ事件ヲ審問裁判シ部長ヲ其裁判長ト為ス部長ハ其部ノ事務ヲ監督ス

第九条 各法院ニ検察局ヲ附置ス
2 検察局ハ台湾総督ニ直属シ其管轄区域ハ各法院ノ管轄区域ニ同シ
3 各検察局ニ検察官ヲ置ク
4 検察官ハ勅任又ハ奏任トス台湾総督之ヲ補職ス

第十条 検察官ハ司法警察官ヲ指揮監督シ刑事訴追ヲ為シ其裁判ノ執行ヲ指揮監督シ法院所管ノ事務ニ係ル民事訴訟ニ付国ヲ代表ス
2 上級法院ノ検察官ハ下級法院ノ検察官ヲ指揮監督ス
3 地方法院検察官ノ職務ハ当分ノ内警部長又ハ警部ヲシテ便宜之ヲ代理セシムルコトヲ得

第十一条 各検察局ニ検察官長ヲ置ク検察官ヲ以テ之ニ補ス但当分ノ内専任検察官長ヲ置カス検察官ヨリ之ヲ兼補スルコトヲ得
2 検察官長ハ検察局ノ事務ヲ指揮監督ス
3 検察官長事故アルトキハ上席検察官其職務ヲ代理ス

第十二条 各法院及検察局ニ通訳ヲ置ク
2 通訳ハ奏任又ハ判任トス台湾総督之ヲ補職ス
3 通訳ハ法廷ニ立会通訳ニ従事ス
4 通訳ハ前項ノ外上官ノ命ヲ承ケ翻訳ニ従事ス

第十三条 各法院及検察局ニ書記ヲ置ク
2 書記ハ判任トス台湾総督之ヲ補職ス
3 書記ハ民事刑事ノ審判ニ関スル準備ヲ為シ法廷ニ立会調書ヲ作リ及一切ノ訴訟記録ヲ整理保管ス
4 書記ハ前項ノ外上官ノ指揮ヲ承ケ法院ニ於ケル諸般ノ事務ニ従事ス

第十四条 判官ハ在職中左ノ諸件ヲ為スコトヲ得ス
 第一 公然政事ニ関係スルコト
 第二 政党政派ニ加入スルコト
 第三 俸給アル又ハ金銭ノ利益ヲ目的トスル公務ニ就クコト
 第四 商業ヲ営ムコト

第十五条 判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ処分ニ由ルニアラサレハ其意ニ反シテ免官転官セラルルコトナシ

第十六条 判官身体若ハ精神ノ衰弱ニ因リ職務ヲ執ルコト能ハサルニ至リタルトキハ台湾総督ハ覆審法院ノ総会ノ議決ヲ経テ之ニ退職ヲ命スルコトヲ得
2 退職者ハ官吏恩給法ニ依リ恩給ヲ受ク

第十七条 台湾総督ハ必要ト認ムルトキハ判官ニ休職ヲ命スルコトヲ得
2 休職判官ハ本俸四分ノ一ヲ給ス
3 休職判官ハ職ヲ執ラサルノ外在職者ニ同シ

第十八条 法院又ハ検察局ハ各自ノ管轄区域内ニ於テ取扱フヘキ事務ニ付互ニ法律上ノ共助ヲ為ス

  附 則

第十九条 此条例ハ明治三十一年七月二十日ヨリ施行ス

第二十条 此条例施行前ニ於テ高等法院ノ受理シタル訴訟事件ニシテ未タ判決ヲ受ケサルモノニ関シテハ従前ノ高等法院ノ職務ハ覆審法院之ヲ行フ
2 此条例施行前ニ於テ地方法院ノ受理シタル訴訟事件ニシテ未タ判決ヲ受ケサルモノハ各其管轄地方法院ニ於テ審問裁判ス


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