小笠原種、島バナナ
 
 沖縄では古い時代からバナナが栽培されていた様である。それは琉球王朝時代(1404年)に中国から冊封使が来ていた頃の記録で、琉球の物品の記録中にバナナ(芭蕉)が見られることからも伺える。
 しかし近年「在来種」「島バナナ」として沖縄で扱われているバナナは、「小笠原種」であり1888年に小笠原から栽培目的で導入されたものである。小笠原種は、その名前に反し原産は小笠原ではなく、マレー原産である。

小笠原種の果実

 小笠原種では普通6〜8段(多い場合には12段)の果段(小房)がつく。1果段には12本前後の果指(果実)がついている。果指の長さは10〜15cmと短く、ちょうどモンキーバナナと似た感じである。果指は完熟するまでは果皮が剥きにくく、果肉にも渋味が残る。完熟した果指は甘味と酸味をそなえ、大変風味が良い。沖縄では数系統(品種)のバナナが栽培されているが、小笠原種が一番美味しいと思われる。

 小笠原種は他のバナナ同様、果段の先端に大きな花苞(バナナハート)がつき、その中から花序が段になって出てくる。花序は雌花、中性花、雄花に分かれ、初めに雌花の果段が数段でき、次に中性花の果段(1〜2段のみ)、最後に結実しない雄花が出てくる。
 バナナの果段ができてからの管理を紹介すると、雄花が出始め、中性花の果段の果指がやや上に反り返った頃に果軸の一握りを残し、果軸および花苞を切り落とす。花苞を切り落とすのはバナナセセリという害虫対策のためである。また切り落とすときは切り口が乾きやすい晴天の日を選び、できれば干潮の時間帯を選べば出汁も少ない。
 あとは収穫までに風や雨が当たらない様に、通気性が良い袋などを果段に被せておけば良い。


小笠原種の未熟果指、花序、花苞

 小笠原種が一般に出回らない理由は、「収量が少なく、萎ちょう病に弱く、台風の被害に合いやすい(小笠原種の草丈が2.5〜3.5mと高く、長幹種の1種とされる)」という栽培の問題に加え、「熟した果実の果皮が黒くなりやすい、熟した果指が房から外れる、熟すと果皮が破れやすい」と云った流通の問題、「栽培地域に合わせた生育相の理解が乏しい、栽培試験がほとんど行われていない」と云った知識の問題、と様々である。

 沖縄における小笠原種の収穫最盛期は、夏から秋にかけて、である。しかし台風被害で出荷量は激変するため、台風の被害状況により入手難易度はかなり違う。最近では八重山地域での栽培が多いため、八重山(石垣島、西表島近辺)に旅行する場合には是非探してみる価値がある。

完熟した小笠原種 


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