王公族

李垠、李堈、李載冕、李�呵O

李垠

1897〜1970。朝鮮末期の王族。大韓帝国最後の皇太子。本貫は全州。高宗の７子で、母は貴妃厳氏である。英親王または英王と称することもある。純宗とは異腹兄弟の間柄である。
1900年8月英王に封じられ、1907年に皇太子に冊封されたが、この年12月伊藤博文統監によって留学と言う名目で人質として捕らわれていった。
1910年国権が喪失されると、純宗が廃位され李王になるにともない、皇太子であった英王は王世弟に下げられた。
1920年4月日本皇室のいわゆる内鮮一体融合政策にしたがい日本王族梨本宮の長女方子と政略結婚した。
1926年純宗がなくなると形式上では王位継承者になり李王と呼ばれたが、日本に留まったまま帰国できなかった。日本に強制滞留する間、徹底した日本式教育を受け、日本陸軍士官学校・陸軍大学を経て日本の陸軍で経歴を重ねた。主な軍歴は1935年8月大佐に昇進して、歩兵第59連隊長になり、1937年3月陸軍士官学校教官、同年8月予士校教授部長、1938年7月少将に昇進し、同年12月北支方面軍附、1939年8月近衛歩兵第2旅団長、1940年5月留守第4師団長、同年12月中将に昇進、1941年7月第51師団長、同年11月教育総監附、1942年8月第1航空軍附、1943年7月第1航空軍司令官、1945年4月軍事参議官を務めた。
1945年光復になり帰国しようとしたが国交断絶と国内政治の壁にぶつかり帰国は頓挫した。
一方、日本の敗北により皇族としての特権を喪失し、在日韓国人として登録し、1963年まで日本で苦しい日々を過ごした。
その後1963年11月当時朴正熙国家再建最高会議議長の斡旋で国籍を回復し、李方子と共に帰国した。
しかし帰国当時、脳血栓症による失語症で苦しんでいた。生前に夫人李方子と共に1966年に心身障害者リハビリセンターである慈行会、1967年には彼の雅号を借りた身体障害者訓練院である明暉園を設立した。
彼の社会奉仕の精神は死後にも李方子により1971年英親王紀念事業会、精神薄弱児教育施設である慈恵学校、1982年身体障害児教育施設である明恵学校設立などに継承された。
晉と玖の二人の子供がいたが長男晉は幼くして亡くなり、次男玖は米国女性と結婚し米国に帰化した。京畿道南楊州市金谷洞洪裕陵内に陵があり、1989年4月30日亡くなった夫人李方子と合葬された。

李堈

1877（高宗14）〜1955。朝鮮末期の王族。本貫は全州。初名は平吉。号は晩悟。義王・義親王または義和君とも呼ばれる。高宗の５子で、母は貴人張氏である。
1891年（高宗28）12月義和君に封じられ、1893年9月金思濬の娘を迎え、嘉礼を挙げた。
1894年9月日清戦争に勝利した日本の戦勝を祝賀する報聘大使に任命され、日本に赴き10月に帰国した。
1895年5月には特派大使に任命され、同年8月には特派大使資格で英国・ドイツ・ロシア・イタリア・フランス・オーストリアなどを歴訪した。
1900年アメリカに留学、アメリカ大学校特別科に入学して、同年8月義王に封じられた。
1905年4月アメリカ留学を終えた後、帰国しこの年6月に赤十字社総裁になった。
1910年日韓併合後には抗日独立闘士などと接触し、1919年大同団の全協・崔益煥などと上海臨時政府への脱出を謀議しながら、計画を実行に移した最中、この年11月満洲安東で日本警察に発覚し、強制的に本国に送還された。
その後数回日本政府から渡日を強要されたが拒否し、抗日の気概を曲げなかった。と鍵二人の子供がいた。

李載冕

1845(憲宗11)〜1912。朝鮮の王族。本貫は全州。字は武卿、号は又石。興宣大院君の第1子で、高宗の兄である。
1864年庭試文科に丙科で及第し、奎章閣待教・芸文館検閲等の清要を歴任し、次いで成均館大司成・吏曹参議・弘文館副提学を経、都承旨・直提学・知経筵を経て、1880年(高宗17)兵曹判書・世子左賓客、次いで吏曹判書を歴任した。
1894年(高宗31)大院君再び執政するや、輔国となり宮内府大臣を務めた。1900年完興君に封ぜられ、1907年には陸軍副将になり報聘大使として日本に赴き、勲一等旭日桐花大綬章を贈られた。1910年特に興王に封ぜられ、名を熹に改めた。日韓併合後、日本政府から公に封ぜられた。

李�呵O

1870（高宗７）〜1917。朝鮮の王族。本貫は全州。字は景極、号は石庭・松亭。興宣大院君の嫡孫で、完興君載冕の子供で、高宗の甥である。
1884年（高宗21）に甲申政変時に洗馬になった。
1886年文科に及第した後、弘文館正字・芸文館検閲・刑曹参議・成均館大司成・弘文館直提学・都承旨などを歴任した。
1886年韓露密約事件を契機に清国の駐箚朝鮮総理交渉通商事宜袁世凱が大院君と協力して高宗を廃位させて李�呵Oを国王に擁立しようとしたが、北洋大臣李鴻章の制止で挫折した。
1894年東学農民蜂起と日清戦争を契機に閔氏戚族勢力が打倒され、大院君を前面に押し立てた親日政権が樹立されるや、大院君はひと時彼を国王に推戴しようと企図したが、日本公使大鳥圭介の制止で失敗した。
その後甲午改革期間中、内務協弁兼親軍統衛使・内務大臣署理などに任命され、人事権と軍事権を掌握したが、軍国機務処の反発で内務協判職を辞任した。以後アメリカ人法律顧問であるグレートハウス(Greathouse, C.)およびル・ジャンドル(LeGendre, C. W.)と接触し反日親衛隊の編成を企てる一方、大院君の助けの下で密使を地方に派遣し、湖南地方の儒生と東学農民軍そして平壌に駐屯した清国軍隊と内通し、日本軍を放逐してソウルの親日政権を転覆しようと企図した。
しかしこの計画が発覚し、新しく赴任した日本公使井上馨の圧力で大院君が政界から隠退することと同時に駐日特命全権公使に内定した。
公使職を引き受けていなかったのが1895年5月に及んで軍国機務処委員金鶴羽暗殺事件に巻き込まれて、また朴泳孝・徐光範など親日派内閣大臣の暗殺を陰謀したという罪目で捕まり、特別裁判所で死刑判決を受けた。
しかし国王の特赦で喬桐府での10年の流配刑に減刑され、その年8月特赦で釈放された。
1896年乙未事変直後日本に留学した。出国した後帰国が許されなくなるや、日本に滞留してから1897年日本を出てヨーロッパ各地を視察して、1899年以後にはまた日本に戻り千葉県に閑居した。
1907年高宗にかわり純宗が即位するや帰国して、永宣君に封ぜられた。また陸軍参将となり、勲一等太極章ついで大勲李花大綬章を授与された。
1908年義陽君李載覚が総裁である商工勤務社の総顧問を務めた。
1912年父が亡くなると、李�剏�の称号を受けた。