臨死体験・気功・瞑想 

覚醒・至高体験の事例集

■「光」体験をともなう場合

パラマハンサ・ヨガナンダ

 以下は、インドの「聖者」といわれるパラマハンサ・ヨガナンダの体験談である。ヒンドゥー教の僧侶は、グルー(導師)について長い修行を続けた後、あるレベルに達すると、イニシエーションの儀式を受ける。グルーは、そのとき霊的な力によって弟子に「意識の拡大」を経験させることがあるという。次の報告は、そうした最初のイニシエーションを受けたのときのヨガナンダの経験談である。『 あるヨギの自叙伝 』(森北出版)から引用したものである。


 それから二、三日たった朝、私は先生の屠られない居間 にはいって行った。私は瞑想するつもりだったが、あいに くその日の私の心は、このけなげな目的にいっこう協力し てくれなかった。そして、まるで狩人に追われた小鳥の群 れのように散り散りに飛びまわっていた。

  「ムクソダ」 先生の声が遠くのバルコニーから聞こえて来た。

  ふと私の中に反抗心が首をもたげた『先生はいつも瞑想 しろとおしゃるくせに』私はつぶやいた『わたしが何を しにこの部屋にはいったか承知で邪魔されるなんて』

 先生は再び私を呼んだ。私は強情に黙っていた。三度目 の呼び声には、ついに叱責のひびきが加わった。

  「先生、私は今瞑想しているのです」私は反抗するよう に叫んだ。

 「お前がどんな瞑想をしているかもわかっている」先生 は大声で言われた「お前の心は、あらしの中の木の葉のよ うではないか。さあ、ここへ来なさい」

 心の底まで見透かされて返す言葉もなくなった私は、す ごすごと先生のそばへ歩いて行った。

  「山はお前の願いをかなえてはくれない。だが気を落とすんじゃない」先生は優しく慰めるように言われた。そし て底知れぬ深いまなざしで私をじっと見つめられた「お前 の念願をかなえてやろう」

  スリ・ユクテスワが謎めいた言い方をされることはめっ たになかった。私が先生の意中をはかりかねていると、先 生は、私の心臓のあたりを軽くたたかれた。

 とたんに、私のからだは根が生えたように動かなくなっ てしまった。そして、肺の中の空気が、何か巨大な磁石に でも吸い寄せられるようにすっかり抜き取られたかと思う と、魂と心はたちまち肉体の監禁から解き放されて、透過性の光の流れとなって全身の気孔から外に流れ出てしまっ た。肉体は生気を失って抜けがらのようになってしまった が、私の意識は逆にはっきりとして、生きているという実感がかつてないほど強く感じられた。今まで肉体という小さな殻に限定されていた感覚の領域が拡大されて、周囲のいっさいの原子までも自分のからだとして感じられるようになった。遠くの道を行く人々も、私自身の中でゆっくり 移動しているように見えた。そして、地中の草や木の根が 薄暗い透かし絵のように透けて見え、その樹液の流れまでが見分けられた。

 近くのものは、すべてあらわに見ることができた。ふつう前方のみに限られている視野が、今や広大な全方位的視野に変わって、上下左右前後のいっさいのものが同時に知覚知された。頭の後ろの方には、ライ・ガート小路(レーン)を散歩す る人々の姿がはるかに見下ろせ、一頭の白い牛がゆっくり とこちらへ近づいて来るのが見えた。牛が僧院のあけ放たれた門の前まで来たとき、私には、それが肉眼で見るのと同じように観察された。そして、それが門の前を通り過ぎて、れんが塀の向こう側へ行ったあともなおはっきりと見 ることができた。

 私が見つめているパノラマのような光景は、映画の画像 のように、たえず小刻みに震動していた。私のからだ、先生のからだ、柱に囲まれた中庭、家具と床、樹木と陽光――これらはときおり激しく動揺したが、やがてすべてが一つの光の海に溶け込んでいった。それはちょうど、コップ の水に砂糖を入れてかきまぜたとき、しだいに溶けてゆく結晶のありさまに似ていた。一方また光の海からは、同じ光の素材によって次々と新しいものが形成された。そして移 り行くそれらの変化は、創造活動における因果の法則を示 していた。

 突然、大海のうねりのような喜びが、私の魂の静かな岸辺に押し寄せて来た。「神の霊は尽きることのない至福だ!」、私は悟った、「そして、そのみからだは、無数の光の織物だ!」。
 内なる栄光は、しだいに膨張して私の町を包み、大陸をおおい、さらに地球、太陽系、銀河系、希薄な星雲、浮遊する鳥宇宙をも包含しはじめた。全宇宙は、やわらかな光を放ち、無限に広がった私自身の中で、遠い町の灯のようにちかちかとあちこちで明滅している。そしてその 外周を、明瞭な球形の輪廓を描いて、まばゆい光の層が取 り巻いていた。さらにその外側のやや輝きの衰えたところ に、一つのやわらかな美し一い光が見えた。その光は、終始 落ち着いたえも言われぬ霊妙た光で、これに比べると、星座を織りなしている光は、はるかに質の粗い光であった。
 永遠なるものの源から放射される聖なる光がが燃えあがって星座を形成すると、それはたえなる霊光に変貌していった。 私は何度も見た――創造の光が凝縮して星座をつくり出し、それがやがて透明な炎の広がりの中に溶け込んでゆぐのを――。幾億兆とも知れぬ無数の世界が、律動的な周期とともに、透明な炎の輝きの中に溶け込むと、その炎の広がりは大空となった。
 私は、その大空の中心が、自分の心の奥底にある直覚の先端であることを認識した。壮麗な光は、私自身の中心からら宇宙組織のあらゆる部分に放射されていた。永遠の至福の甘露が、私の体内を水銀のように流れながら脈打っている。そして、神の創造のみ声が、宇宙原動機の振動音「オーム」となって鳴りひびくのが聞こえた。

 突然、息が肺に戻って来た。私は、自分の無限の広大さが失われてしまったことを知って、耐えがたいほどの大きな失望に襲われた。私は再び、霊から隔離された屈辱的な肉体の檻に閉じ込められてしまった―――かの"放蕩息子” のように、無限の宇宙のすみかをとび出して、その極微の縮図である一個の肉体の中に自らを監禁してしまったので ある。

  先生は、私の前にじっと立っておられた。私は、長年の念願であった宇宙意識の経験をかなえてくれた先生の足も とに、心からの感謝を込めてひれ伏した。先生は私を立ち上がらせると静かに言われた。

  「あまり胱惚に酔っていてはいけない。お前には、まだこの世でなすべき仕事がたくさん残っている。さあ、バルコニーの床を掃除して、ガンジス河の堤を散歩しよう」

 私はほうきを取って来た。先生はこのようにして、われわれが肉体的には日常の勤めを果たしながら魂は宇宙開闢の深淵に息づいていなげればならないという、霊肉均衡の とれた生活の秘訣を教えられたのである。

 われわれはやがて散歩に出かけたが、私はまだ言いよう もない恍惚の中に酔っていた。私には、河岸を歩いている 自分たちの姿が、光だけで構成された幽体のように見えた。

  「宇宙のあらゆる力や形の存在を維持しているものは神の霊だ。しかも、この神の霊は同時に、波動で構成されたいっさいの現象界から隔絶した至福の虚空に住する超越的存在でもある」先生は説明された「この地上に生活し、しかもなお自己の本性を悟っている人たちは、この神の霊と 同様に、二重の存在を生きているのだ。こうした人たち は、この世の仕事を誠実に遂行しながら、内的には至福の中に浸っている。

 神は、すべての人間を、ご自身である無限の至福から創造された。人間は窮屈な肉体の中に閉じ込められている が、しかし神は、ご自分の似ずがたにつくられた人間の魂が、最後には感覚的自我意識を完全に抜け出して、再ひご自身と一体になることを望んでおられるのだ」

  この宇宙的幻を見たことは、私に多くの不滅の教訓を残 してくれた。日々心をしずめることによって私は、自分が骨と肉で出来たからだそのもので、固い地面の上を右往左往しながら生きている物質的存在である、という誤った観念から解放されるようになった。私はまた、呼吸と揺れ動 く心は光の海にさまざまな物質的形態の波―――地球、大 空、人間、鳥獣、草木など―――を生ぜしめる嵐のようなも のであることを理解するようになった。この嵐をしずめる ことなしには、われわれは、無限なるものを一つの光として知覚することはできないのである。

 私は、人間として持って生まれたこれら二つの動揺的要素をしずめるたびに、無数の創造物の波が光の海の中に溶 け込んでゆくのを見た。そのありさまはちょうど、海の嵐がしずまるときに、波がしだいに海中に没してついには完全に海と一体化して消滅するのとよく似ている。

 聖師 (グル)は、弟子が広大な宇宙的視野に耐えられるだけの心の強さを瞑想によって獲得したとき、初めて彼にこの神聖 な宇宙意識の経験を与えるのである。そのためには、単なる知識的願望や広々とした気持をいだくだげでは不十分で ある。ヨガの修行と熱烈な信仰によって意識が十分に拡大 したときはじめて、遍在意識へ解脱するときのショックに 耐えられるようになるのである。

  この聖なる経験は、真剣に神を求める者には必ず与えら れるものである。熱烈な願いは神を引き付けずにはおかない。神は、信仰者の熱情の磁力に引かれて、ついには宇宙的幻として、彼の意識の中に姿を現わしたもうのである。

00/03/05追加

☆パラマハンサ・ヨガナンダの他の著作『人間の永遠の探求―パラマハンサ・ヨガナンダ講話集

☆自己達成会 (パラマハンサ・ヨガナンダ)のホームページ<英語>  http://www.yogananda-srf.org/

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