臨死体験・気功・瞑想

覚醒・至高体験の事例集  普通の人々の場合-1

クレア・マイヤーズ・オーウェンズ

74歳で禅の修行を始めたクレア・マイヤーズ・オーウェンズという女性による『禅と一婦人』(Zen and the Lady、本邦未訳)という自叙伝からの引用である。ただし、私(Noboru)は、この本を直接読んでいるわけではない。ジョン・ホワイトの『死と友になる (トランスパーソナル・シリーズ) 』(春秋社、1990年)の中にこの体験が引用されていたのである。すぐ元の本(Zen and the Lady)を取り寄せて読んでみたいと思っている。その上でここに書き加えるべきことがあれば、追って追加したい。

以下は、オーウェンズが禅の修行を熱心に続けて、6年が経過したある日、経験したことであるという。


私はベッドから抜け出て、床に枕を置き、一風変わったやり方で、瞑想を始めた。身体はただちにゆったりした、坐禅の姿勢をとった。私は、「威厳ある重々しさを感じながら座り、まるで自分が山になったようだった」。

私はひたすら座り続けた。一時間それとも二時間だったろうか? 足を完全な蓮華座に組み、身動きひとつしなかった。やがて私の両手は感覚がなくなり、膝に痛みが走った。背中も痛くなった。しかし、これらの痛みは遠く離れた彼方で起こっていた。痛みなどささいなことは気にならたかった。

時問が経つにつれて、身体がますます重くなり、まるで土に埋め込まれた大きな岩かしっかり根を生やした巨大な樹木のようだった。動かすこともできず、破壊されることもない。

私は、二度と身体を動かしたいとは思わなかったし、何ごとも変えたいと思わなかった。権力、富、名声、愛、情熱が与えられ、どんな状況になろうとも、いまこの瞬問に体験しているこの平静な状態とは比べようもないだろう。これこそ平和そのもの、深い、言葉で言い表わしようのな い平安であった。

どうやら、長い旅の終わりに着いたようだ。険しい道の途上では、数々の感動的な視野を目に してきた。長年、奮闘した挙げ句、やっと到着したこの美しい平原に、私はいつまでも憩おう。 願望も、野心も、後悔もない。言葉に尽くせないほどの、完璧さ、完全、達成、終極性。

自分の身体をはっきり自覚しているが、同時に、新たな高度に身体なしで浮いている感じもある。体内がすべて、金色の光の中で、穏やかに振動しているようだ。体内がすぺて、完全な静止 状態にあり、このまま永遠に静止を続けそうである。言語を絶する静けさと表現し尽くせない不 動感。

私は自己が完全なるものと融合しているとは感じなかった。全宇宙、生きとし生けるもの、創 造されざるもの、変化しないもの、初めなきもの、永遠なるもの、が私の中にある、いや私その ものである、と瞬時に感じた。

「あらゆるもの」は手で触れることはできず、無形、無色なので五感ではつかめない。概念的思考、言語による理解を超えているが、真のリアリティを持つ。「あらゆるものは何もないこと」 であり、「何もないことはあらゆるもの」である。

これは、私にとって、終極なのだろうか、それとも始まりなのだろうか? これは死後の世界 の至福を一瞥したことなのだろうか? この瞬問に死の恐怖はすっかり消え去り、二度と戻って こなかった。


この体験が一時的な至高体験なのか、永続的な覚醒だったのかは、この文章や、ジョン・ホワイトによる前後の文を読んだだけでは分からない。少なくとも、死の恐怖が消えたという事実には永続性があったようである。また、文章全体に力強い静けさのようなものが感じられるのも確かである。

この体験で驚くべきこと、そして勇気付けられることは、彼女が74歳で禅の修業を始めたということである。このように高齢であろうと、至高体験ないし覚醒が訪れるときには訪れるのである。

もう一つ注目すべきことは、この体験が座禅中に静かに自然にやってきたように思われることである。このことは、「覚醒・至高体験が起こる契機は何か」を考える上でも重要である。体験がどのような状況において、何を契機として起きたかという視点から事例を見ると、多くの場合、その状況を前にしてどうすることもできず、絶望せざるを得ないようなぎりぎりの「限界状況」において体験されている。この事例集の中でもそのような事例が多い。 オーウェンズ氏の場合、この記述を見る限りそのような限界状況はなかったようである。しかも静かに座禅している最中の体験である。ぜひ元の自伝の全体を読んで確認したいところである。

もうひとつ確認しておきたいのは、彼女がこの体験について「これは死後の世界の至福を一瞥したことなのだろうか?」と自らに問いかけていることである。これは、悟りと臨死体験を比較して考える上でも興味深いことであるが、ここではこれ以上の追及はしない。いずれ何かの折にこの事例に触れながら考えることがあるかも知れない。


OWENS, CLAIRE MYERS (1896-1983).

 03/0/0追加

 


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