あまり眠れないまま夜が明ける。雨はやんでいるが風は台風並み。重いグレーの空にぴゅうう〜と不気味な突風の音を聞きながら、まだ誰も起きださないうちからきしむ廊下を行ったりきたり。
8時、食堂で朝ごはんの準備ができかけているのを横目に宿を出発する。朝飯がいただけないことより、同宿の方々に挨拶できないまま去るのが残念。でもヘルパーの女の子が回してくれた車に乗ろうとした時、我々に気づいたJさんらが離れの方から何か叫びながら、走りながら手を振ってくれた。
「もう帰るのぉ〜っ?!」
「飛行機で波照間行くの!いろいろありがとうね!」
「気をつけてね!バイバーーイ!!」
相変わらず朝からやたら元気でたのもしい彼女には、短い時間だったけれどいろんな楽しい話とスパイスと元気をもらった。来月の美瑛も楽しみだが、彼女がヘルパーをしていたという礼文島の星観荘にもいつか絶対行きたい。こうして南から北へつながっていくのであり、末端好きだって重症化していくかもしれないのであり、そして行ってみれば北から南にまたつながるんじゃないだろうか。そんな風に考えるとますます楽しみである。
おかぽん 「波照間行けますかね?」
ヘルパー女子 「えっ、欠航じゃないですか?! 船ですか?」
おかぽん 「行きは飛行機です」
ヘルパー女子 「ああ、飛行機なら・・・」
石垣竹富間の航路は内海のためよほどでないと欠航しないらしい(‘これくらいなら’大丈夫らしい・・・)が、外海の波照間行きは欠航だろうとのこと。しかし飛行機だって9人乗りのプロペラ。本当に出るのか?? そだ、空港に電話しなくても携帯で発着案内見ればいいんじゃん。
iモード通信中 >>>>
石垣発 波照間 RAC771 9:30 定刻 残席×
定刻だ!(^^)v ヨッシャー!
竹富港にまだ船の姿はないものの、ちゃんとやってはくるみたいで、昨日とかわらずレンタサイクル、宿、新田観光らの送迎バスが集まっている。あまりの強風と飛散するしぶきにとても外にはいられず、ターミナル建物内で船を待つ。他に待ってる客が2、3人しかいないところも不安要因だが、5分ほど遅れて安永がやってきて、やってきたとたん帰っていったかと思うと、さらに5分ほど遅れて八重山観光フェリーがやってきた。桟橋で思いっきりしぶき浴びながら、飛ばされそうになってギャーギャーわめきながら、しかし意外に大勢乗ってた団体客が降りきるまで待って、ちょっと必死の思いで船に乗り込む。まさしく海辺の台風中継で、髪の毛メデューサ状態なレポーターと同じ図。
‘25m以上の暴風域’以上だよ!!
それにしても、こんな日に竹富日帰り観光って・・・・お気の毒。この島のよさ、まるでわかんないまま帰っちゃうんだろうなあ。
写真じゃ伝えられないすさまじさ
内海でもありえないほど波は高くて、3mくらいあったかも?
こりゃ飛行機も尋常でなく揺れそうだ
N嬢は耐えられるのか?? |
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離島桟橋に着いて目の前の安永のスケジュールボードを見ると・・・本日の波照間行き1、2便は「欠航」、3便は「未定」。行きだけでも空路を取ってあったのは、偶然にしてもツイてたとしか言いようがない。さすがおかぽん! N嬢、感謝しろ!(笑) 空路を予約していなければ波照間にも渡れず、またしても石垣で無意味に時間を過ごさねばならないところだった。
空港へ向かうタクシーの兄ちゃんは、今回八重山に来て目にしたいかなる男性よりも濃い、オキナワンチュの中のオキナワンチュな顔。絞りきって濃縮されまくったというか煮詰められたというか、まぁとにかくはっきり言うと朝からクドイ(夜は夜で怖いかも)。そんな彼は与那国出身だそうで、久部良に松方弘樹が別荘建ててしょっちゅう来てるとか、それは独身の頃から変装して通ってきてた梅宮辰夫の影響なんだとか(与那国に行くのにどうして変装する必要があるのだろうか)、聞いてもないのに与那国のことをべらべらべらべら・・・話に夢中になるあまり、タクシーのくせに自動車教習所の路上教習中の車みたいにノロい。そこそこ楽しかったからいいとするが、空港まで10分で着けそうなところを15分かかって、N嬢でさえ
「話がしたいからわざとゆっくり走らせてたんだわ」。
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恒例
体重測定にて座席決定
だけどいちばん後ろの5B・・・
うーむ。
チェックインが遅かったみたい |
あんまり小さく思わなくなったのって
見慣れただけ? |
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かれこれこのブリティッシュ・アイランダーに乗るのも4回目。行きだけ張り切って予約したのは、2006年春をもって(?)これを飛ばしている路線、那覇⇔慶良間、那覇⇔粟国、石垣⇔多良間が一斉廃止になってしまう(なるかもしれない?)という噂を聞いたからである。石垣⇔波照間も同時廃止に追いやられるはずだったところ、島民の強い要望でここだけ1年保留になったらしいが、アイランダーが姿を消すのはもう時間の問題なのである。そして、廃止されるということは同時に慶良間、粟国、波照間の空港が閉鎖されるということでもある。そりゃ大変!! N嬢にとっては、この機会を逃せば一生できないかもしれない体験なのであり、体験させるのもおかぽんの使命?! 3回乗ってうち1回は貸し切った私だって今のうちにまた乗っておきたいし。
しかし・・・密かにずっと狙い続けてきた副操縦席である1Bには乗せてもらえずじまい。パイロットの隣に座ることができるのは満席の時に限り、機長好みの若くて美しくて体重40kg台の女性限定という噂は本当なのか?!ならアタシってば充分満たしてるのに!! 今日は満席だっつうから、誰かが1Bに座る確率は高い。この数人の中でアタシ以上に条件に合うやつがどこにいるっていうのさ、ん?!と搭乗口前をキョロキョロ・・・・どう見てもいない。知ったこっちゃない機長の好みを差し置いたとしても。しかししかし、そんなことを思っていると、5AだったN嬢が搭乗直前に呼ばれて座席変更だとひとつ前へ。そして私の隣は空席となり、あろうことか1Bには若い女性が乗り込もうとしているのである! 美人かどうかはしっかり顔見えなかったから不明。それにしてもなんということだ! 許せん!!チクショー!!!
そんな彼女に、あとで島のとある店で出会って、なんとなく話ができる雰囲気で、即座につっこんだのは私くらいだろう。なんでも彼女は同様にアイランダーの廃止を知って今のうちに乗りたいと思い
「これに乗るために波照間に来たようなものなんです。だから明日の帰りももう取ってます。席は絶対1Bに座らせてください!って相当お願いしたんですよ」
だとさ。なんと。彼女方がよほどうわてだった。やられたわー。ちなみに・・・
「体重40kg台?!余裕で50kg超えてます・・・(笑)」
50kg超級の諸君には朗報です(^^ いくら軽くても男子は可能性低そうに思いますが(^^;
ひとりずつ搭乗、乗客が揃ったところでパイロットは斜め40度くらいに振り返ってセルフアナウンス。20分のフライトだが「今日は揺れることが予想されます」。N嬢には今日になってもまだ次々と初体験が押し寄せてるわけで、この瞬間もショッキングなことには間違いないが、驚くことに慣れてしまったのかわりと平気そう。驚き疲れただけだったりして?
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天気よくなくても極上遊覧!!
視界よくなくても海にリーフに島に
すべてがよく見えて感動
「黒島上空です」 「パナリ島です」
機長もきっちり教えてくれるし
船だとあまり感じなかった距離を
逆に感じられました |
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晴れてたらすごかったろうなぁ! モルディブな気分になれたろうなぁ!!(行ったことないけどイメージ) 粟国行きや多良間行きより絶景のほどはずっと上等、廃止にもっと反対の声が上がるべき、沖縄の誇れる定期路線なのになぁ。
と、いちばん後ろ、前がまるで見えないサイアクの席から首伸ばしてキョロキョロする私の前で、N嬢は離陸15分をすぎた頃から大ピンチだったらしく、ゲロ袋の封を切ってスタンバイしながら手に汗握っていたらしい。確かに、船に負けじと上下左右に揺れて旋回もしたもんね。なぜか平気だったけど、アタシだってもう20分長ければどうだったか。
ぜひとも存続してほしい日本最南端の空港 アイランダーしか似合わないよ・・・
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島の売店より小さいくらいの空港なのに、着いてみるとびっくりするほどの人。迎えにしては多すぎるし、客引きといってもなにせ乗客8人じゃ獲物にならん。これから乗る客だつっても、どんなに頑張ったって9人限定だ。そういうことで、こんなに大勢君たち何しに来てんの?
答:波照間から脱出したいのに船が欠航で脱出できなくなったやつらがキャンセル待ちに押しかけているのだった。
うへー、すごい競争率の椅子取りゲームだわ・・・。
昨日だったか今朝だったか、空港に迎えに来てねって電話しといたのに宿のお父さん、来てないの。そういえば「待っててください」って言ってたんだっけ? とN嬢を振り返っても、ついさっきまで大ピンチだった彼女はまだ青い顔で少々ヨロヨロ、フラフラで、髪の毛もメデューサのままなの。
そうだよ、日本の最南端にやってきたというのにこの寒さはないよ! 13℃しかない。ぴゅうぴゅうと涼しい風が吹き荒れる建物の外ではじっと待っていられず、他の宿のお迎えに散っていく人を見ながら待つこと数分。
意外に小柄なお父さんがやってきた。
バンに乗ると、同じ飛行機に乗っていたTさんとかいう男子1人も乗ってきた。これで3人かと思ったら、さらに3人乗ってきた。そしてしばしどこかに消えていたお父さんも戻ってきた。が、お父さんもTさんも我々も無言で、あとから乗ってきてひたすら喋る3人のわかるようなわからない話を聞きながら宿に向かう。彼らは昨日の宿泊客で、さっきのヒコーキで帰るつもりが乗りそびれたよう。なんでも、予約番号をもらっていながらリストに名前がなかったとか? いや、あとで聞いたところによると名前はあったかもしれないが、目の前で‘JMBサファイヤ’メンバーに割り込まれたんだとか(サファイヤやダイヤモンド会員ならなんでもありかよ!!!) 相当腹立ってるに違いないのに、今その一部始終の‘一部’だけ知った我々にしてみりゃお笑いトリオにしか見えぬ。だって、カリフォルニア帰りといってもまんざら嘘に見えない自称女優と、フィリピンあたりの無人島帰りといってもまんざら嘘に見えない他称半漁人と、その2人を軽く中和しながら軽く突っ込むわりと普通の男子っていう組み合わせなんだもん。
どうもいきなり濃いよなぁ・・・と一抹の不安を抱きながら宿に着くと、そんな3人が舞い戻ってきたのを笑いながら迎える人たち。新たに加わった我々もそしてわけわかんないままにいきなり記念撮影大会。いったいどーいうこと??
ついに潜入
さぷな家も泉屋も真っ青かもしれない
八重山人気No.1民宿
ただし賛否両論も激しく分かれる
「たましろ」
食事の量と‘き●なさ’がキーワード(?) |
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宿の手前100mくらいから
なんともいえないオーラが漂ってるわけだ
3年前の教訓を生かして
ここも2ヶ月前に予約したのだ
(そこまで急がなくてもよかったかもしれない) |
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「たましろ」のお父さんによるとチェックインは10時半かららしい(たぶんチェックアウトと同時)。部屋の掃除いつするの? 失礼、そういう細かいことはここでは忘れろってことだ。物置にしか見えない入り口を上がってお父さんに案内された端っこの6畳の部屋。 ん? 噂に聞くほどキ●ナクないじゃん?!異臭も悪臭もないし、ゴッキーもいない(ヤモリはいた)。
「たましろ」については数年来、泊まった友人や友人じゃない人からさえも実に多くの噂を耳にしてきた。3年半前、泊まろうとしていっぱいだと言われてからずっと気になっていたが、私をよく知る友でさえ、すすめておきながら
「おかぽん、そういうところ大丈夫かなあ?」
と不安がるほどボロくてキ●ナイんだと、さんざん言い聞かされた。でもアタシにしてみりゃ
「何が大丈夫じゃないんだろう??」
ゴッキーはそんなに苦手じゃない(決して得意でもないがね)、むしろ部屋にかたつむりが出たりする方がよほど参る。いやなんだろうが部屋に大なり小なり生き物なんぞ出没してほしくはないが、とにかく潔癖症なんかじゃないし、海外ではドミトリーと野宿こそ未体験だけれど、どう脅迫されてもきれいとは決して言えないお宿にだって泊まってきたわけで、そこそこ免疫あるはずだから。でも私はその噂をできるだけそのままN嬢にインプットし、ちゃんと彼女の了解を得て泊まることにした。さらに我々は旅に出てからも「はとみ」で昨日の「泉屋」で、よりリアルな体験談や否定的な意見をも聞かされ、N嬢の不安は昨晩になってピークを迎えていたかもしれないのだが、
「うん、噂ほどスゴくない・・・・」。
それにしても、そんなにキ●ナイともボロいとも思わない私ったらいったいどこで免疫つけたんだろう? 絶句するどころか平気な顔してるN嬢、あなたもある意味ヤバいかもしれません(やっぱり私に似てきてる・・・)。でもボロさでいうと与那国の●たけ荘もいい勝負。まだ少し酔いが残ってる、というN嬢と
「疲れたね〜、さすが最南端は手ごわいわ」
なんて言いながらゴロリと横になる。古い木の天井を見ながら、ふと昔の友の話を思い出す。実家の天井にヘビが住んでて、夜になるとザーーーッって音がするんだと言っていた。明らかに4本足歩行ではない音なんだと。うふ。ここも負けじと、今晩何か出没するのかしら。
そんなことより、飛行機が飛んだだけでいそいそとやってきてしまったこの島で、もっと深刻な問題と直面しつつあることを、このときの我々はまだはっきり認識していなかったのである。
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