◆4人の黒い医者◆

■封印作品 パート1

前回と同じく、1つのテーマに沿った作品を紹介しよう。

テーマは「封印作品」。

封印作品とは厳密な意味では、現在では見る手段がないもののことだと思うが、
ここでは

 ●少年チャンピオンコミックス
 ●少年チャンピオンコミックス 新装版
 ●少年チャンピオンコミックス DX版
 ●手塚治虫マンガ全集
 ●豪華版
 ●秋田文庫
 (DX版と全集、豪華版と文庫の収録内容は同じ)

のいずれかで収録が見送られた作品と、意味を広げて扱う。
つまり、何らかの理由で、少しでも収録がためらわれた作品だ。

ただし、DX版と全集でのみ収録されなかった作品は数が多く、
また収録されなかった理由もよくわからないので除外する。

たいていの場合、どこぞから抗議が来たとか、
倫理的に見て自主規制だったりするので、
読んでみると一風変わったおもしろさがあるかもしれない。

結構数があるので2回に分け、今回は7作品を紹介する。
内容は載せない(載せられない)ので、実際に見てみてほしい。

※注意
「問題があるから」ではなく、「おもしろくないから」で収録されていない作品もある。
「せっかく探してきたのにつまらんぞ」なんて文句を言わないように。





■血がとまらない
未収録理由:
  出血するとなかなか血がとまらないという、
遺伝病である血友病を扱っているからだと思われる。

未確認だが、血友病は偏見が強く、
血友病に関した団体から抗議が来たといううわさもある。
 
入手方法:
  ■収録書籍
 
●少年チャンピオンコミックス   3巻
●少年チャンピオンコミックス 新装版    
●少年チャンピオンコミックス DX版    
●手塚治虫マンガ全集    
●豪華版    
●秋田文庫    

オリジナルの少年チャンピオンコミックスにしか収録されていない。

新装版が出たのでオリジナルは絶版になるという話もあるので、
入手するなら今のうち。





■指
未収録理由:
 
ブラック・ジャックの友達だった間久部緑郎が、
6本指の畸形だったためバケモノ扱いされ、のけものにされていた
ブラックジャックのセリフ
私も君も みじめだったなぁ、
 私は身体障害者、君は不具者だったんだ

など、収録に問題がある要素が色々あった模様。
 
入手方法:
  ■収録書籍
 
●少年チャンピオンコミックス    
●少年チャンピオンコミックス 新装版    
●少年チャンピオンコミックス DX版    
●手塚治虫マンガ全集    
●豪華版    
●秋田文庫    

収録された書籍は1つもない、真の封印作品ともいえるが、
227話「刻印」に描き直されている。

こちらは問題部分はカットされていて、普通に入手可能。





■しずむ女
未収録理由:
  公害を扱っているからと考えられなくもないが、
おそらく障害者に対する扱いが原因だろう。

かなり差別的なセリフが多く、
(頭を指差しながら)「もともと コレなんじゃしょうがないね
なおしたってムダだ どうせハクチなんだからな
さー もうバカに用はないと

知的障害者に対してコレはまずかろう。
 
入手方法:
  ■収録書籍
 
●少年チャンピオンコミックス   4巻
●少年チャンピオンコミックス 新装版    
●少年チャンピオンコミックス DX版    
●手塚治虫マンガ全集    
●豪華版    
●秋田文庫    

オリジナルの少年チャンピオンコミックスにしか収録されていない。

新装版が出たのでオリジナルは絶版になるという話もあるので、
「血がとまらない」同様、入手するなら今のうち。





■2人のジャン
未収録理由:
  右を見ればわかると思うが、
シャムの双生児というヘビーな畸形を扱っていることが原因か。
症例がいくつか出てくるが、どれもショッキング。

作中では、片方の頭を切り取るのだが、
切り取った一方の脳をどう扱うかといったことも問題なのだろう。

実際、未収録作品のうち、脳に関するものは多い。

ただ、脳に関するものはたいていどれも、
手塚治虫が人間の行いに対して警鐘をならす前向きなもので、
「臭いものにフタ」的に封印するのは非常に残念。
 
入手方法:
  ■収録書籍
 
●少年チャンピオンコミックス   4巻
●少年チャンピオンコミックス 新装版    
●少年チャンピオンコミックス DX版   13巻
●手塚治虫マンガ全集   13巻
●豪華版    
●秋田文庫    

オリジナルの少年チャンピオンコミックス、DX版、全集に収録。

現在ではどれも入手しづらくなってきているが、まだ手に入るだろう。





■植物人間
未収録理由:
  タイトルからして、現在では放送禁止用語なのだが、
実際の理由はもっと根が深い。

第153話に「フィルムは二つあった」という作品がある。
この話、もともとは「ある監督の記録」というタイトルだったのだが、
諸事情により修正され、改題されて収録された。

修正された理由は、「ロボトミー」を扱っているからだ。
ロボトミーとは、詳しい説明は書かないが、
人格に影響を及ぼす、かなりヤバい脳外科手術のこと。

手塚治虫は、ただの開頭手術を間違って
「ロボトミー」と書いてしまっただけ
だったのだが、
これがもう、各所から猛抗議をうけた。

ただ、その中心になったのは「東大紛争」の遺産ともいえる、
先鋭集団「東大精医連」で、なんだか色々裏があるらしいが。

とにかく、このロボトミー事件のとばっちりで、
ロボトミーなどとはまったく関係ないのに、
脳を扱ったこの作品は封印されてしまったのだ。
 
入手方法:
  ■収録書籍
 
●少年チャンピオンコミックス   4巻(17、18刷ぐらいまで)
●少年チャンピオンコミックス 新装版    
●少年チャンピオンコミックス DX版    
●手塚治虫マンガ全集    
●豪華版    
●秋田文庫    

オリジナルの少年チャンピオンコミックスに収録されていたが、
上記の事件が起きたため、途中から第70話「からだが石に・・・」
に差し替えられてしまった。

初期の頃の少年チャンピオンコミックス4巻を手に入れる以外
読む方法はないが、かなり版を重ねているので、
現在では入手困難。

近所の古本屋にあった4巻は、なんと101刷にもなっていた。





■快楽の座
未収録理由:
  上の「植物人間」と同じ理由なのだが、
そうでなくても結構コワい表現が多い。

スチモシーバーを脳に入れた少年が狂った!!
と、扉絵にいきなり穏やかでない文句が。
(スチモシーバーは人間の感情を制御する機械)

手術を受けた少年は、
かわいがっていたトカゲを床に叩きつけて殺す
手術をした鬼頭教授をメスで突いて重傷を負わす(右のコマ)
母親を縛り、メスをちらつかせてこう言う
おもしろいね ママ すごくおもしろいよ
             もっとおもしろくしようか

こんなことを、おかしな笑いを浮かべながらやるんだから、
コワいことこの上ない。

ただ、他の作品と同じく、
手塚治虫は警鐘を鳴らす意味でこの作品を書いているのだから、
個人的にはぜひ出版していただきたい。
 
入手方法:
  ■収録書籍
 
●少年チャンピオンコミックス    
●少年チャンピオンコミックス 新装版    
●少年チャンピオンコミックス DX版    
●手塚治虫マンガ全集    
●豪華版    
●秋田文庫    

「植物人間」と違い、1度も収録されないまま封印されたため、
初出の週刊少年チャンピオン本誌を手に入れる以外
読む方法はまったくない。

Yahooオークションなどで出てくることもあるが、
落札価格は10万円ぐらいにもなる。





今回は、あまり表立って紹介されない作品を集めてみた。

なぜか、少年チャンピオンコミックスの4巻に収録された作品が多いな。

次回は残りの作品を紹介しよう。



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●収録書籍


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