オレの心は負けてない安海龍監督紹介

プロフィール

戦争中の日本軍による強制連行・強制労働、サハリン残留朝鮮人、日本軍「慰安婦」、韓国の基地問題など広く手がける映像ジャーナリスト。ドキュメンタリー作品に『沈黙の叫び』、『北から来た少女』(NHK ETV特集)、『1万人のリストラ』(NHK ETV特集)など多数。

監督の言葉

集会終了後の打ち上げの席。誕生日を迎えた「支える会」のメンバーにケーキが差し出され、宋神道さんが即興の替え歌で誕生日を祝う。「支える会」が簡単な編集をしてくれと言って私に渡したビデオテープの中にそのシーンはあった。このシーンを見た時の静かな感動が、私にこの映画を作らせる原動力となった。

ビデオに記録された宋神道さんの発言には、自身の個人的な被害を越えて戦争に反対する強力なメッセージが込められていた。それらの発言は肉体的にも、精神的にも、傷を負った宋さんが日本で過ごした50年あまりの歳月に強いられてきた沈黙の時間の中で、鋭くとぎすまされたものだった。裁判の過程は、全身に染みついてしこりとなっていた真実を世に吐き出す過程であり、自身の傷を自ら治癒する過程となった。

宋神道さんが裁判の過程を通して社会と関係を結び、人間性を回復して行く姿を、映画の中で淡々と描きたかった。宋神道さんの話だけでなく、献身的に裁判を支援してきた「支える会」の物語と共に。

この映画は、宋神道さんと「支える会」の映画である。戦争に反対し、女性差別、民族差別、階級差別などの執拗な歴史的偏見とたたかってきた女性たちの物語なのである。

宋神道さんは言う。「裁判に負けても、オレの心は負けてない」と。この発言は、「慰安婦」問題が未だ解決していないという事実を世界に知らしめる警鐘であり、共にたたかい続けようという励ましのメッセージに他ならない。


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