言 問 橋
(こととい ばし)

 全長 : 238.7 m  全幅 : 22.0 m  構造 : 3スパン 鋼製 桁橋  完成 : 昭和 3年 (1928)
 架 設 区 間  台東区 花川戸 2丁目 <==> 墨田区 向島 2丁目 (R6 ・ 水戸街道) [言問通り]


『言問橋』 (見る橋としては寂しい桁橋)

遠景 (周囲の景観に配慮した結果?)
 
【言問橋】
『言問橋(こととい ばし)』 は、台東区花川戸 と 墨田区向島 の間で
「水戸街道」 (言問通り) が 「隅田川」 を渡る橋である。
橋の創架は昭和 3年(1928)、震災復興計画による復興橋梁として新規に架設された。

【橋名の由来】
『言問橋』 の名称の由来に関しては諸説あるようだ。
一つには、向島側のかなり上流にある 「墨田川神社」 の近辺を 「言問」 と呼んでいたという説があるが、
「言問」 の地名があったという確かな資料は残っていない。
また一説には、この橋の上流にあった 「向島三囲神社」 と 「浅草待乳山聖天」 とを結ぶ 「竹屋の渡し」 と、
下流にあった 「山の宿の渡し」 (別名 「枕橋の渡し」) を総称して
「言問の渡し」 と呼んでいたからともいわれている。
この説も、「言問」 の名称の由来については一言も触れていない。

【伊勢物語】
最も有力なのが、「伊勢物語」 にある 「在原業平(ありはら なりひら)」 の詠んだ
「名にし負わば いざ言問はん都鳥 わが思ふ人はありやなしやと」
の古歌に由来しているという説である。
この 「言問」 とは 「ものを言い交わす」 の意味だそうだ。
確かに、『言問橋』 を向島側に渡って真っ直ぐ進むと、「墨田区業平」 という地名がある。
これが 「在原業平」 から付けられた地名ならば、
ここから 「言問」 の名称が使われたというのは納得のいく説である。

【周辺環境と橋】
このように、なかなか洒落た命名の 『言問橋』 なのだが、
橋そのものは何ともシンプルというか、悪く言えば味気ないただの桁橋になっている。
この橋の下流側の4橋がアーチ橋で統一されているのに比べ、
同じ震災復興橋梁でありながら、なぜこれほどシンプルな橋を架けたのだろうか?
当初から有り余る資金があったわけではない復興事業のしわ寄せが、この橋にきたのか、
あるいは善意に解釈すれば、この一帯の桜並木や隅田川の花火大会などに対して、
その景観を阻害しないために、敢えてシンプルな橋にしたのか、
その真相は定かではない。
ただ、もし周辺景観に配慮した結果の選択であったとしても、
もう少し 「橋自身の景観」 も考えてもらいたかったというのが正直な感想である。

【隅田公園】
『言問橋』 の周辺の 「隅田川」 両岸には、
都内でも最大規模のリバーサイドパークである 「隅田公園」 がある。
西岸(浅草側) は 『吾妻橋』 から橋場迄、東岸(向島側) は 『言問橋』 から向島に至る、
総面積約19haの防災避難地を兼ねた公園である。
この 「隅田公園」 は、昭和 6年(1931) に震災復興計画の一環として設置されたもので、
西岸は遊歩道が主体の見晴らしの良い公園、
東岸は江戸の大名庭園を活かした、桜並木の映える公園となっている。

【小梅御殿】
向島側の 「隅田公園」 は、江戸時代は水戸 徳川家 の下屋敷であったところで、
「小梅御殿」 とも呼ばれていた。
明治になると小石川に代わって本邸がこの地に置かれたが、
関東大震災後の復興計画によって公園として整備されることになり、
昭和 6年(1931) に開園している。

【墨堤の桜】
この一帯の隅田川沿いに桜並木が整備されたのは、八代将軍 徳川吉宗 の時代といわれている。
付近の堤防は 「墨堤(ぼくてい)」 と呼ばれて、
近隣の 「向島百花園」 や 「隅田七福神」 などと共に、江戸の名所にもなり、
また、多くの文人墨客達もこの地を訪れるようになったという。
向島の花街が栄えるきっかけにもなったようだ。
現在でも1km余りにわたってソメイヨシノが植えられており、
隅田川テラスの整備ともあわせて、桜の時期にはたくさんの花見客が訪れている。

【東京大空襲】
このように素晴らしい環境に架かる 『言問橋』 であるが、
橋の西詰の公園には、東京大空襲で犠牲になった人達を悼む石碑が建てられている。
空襲で家を追われた人々は、火災から逃れようと 『言問橋』 に殺到したため、
橋上は人や荷物で溢れかえり、火炎はやがて橋の上まで襲ったという。
『言問橋』 の親柱は、その時の様子を今日に伝える歴史的な遺構の意味も込めて、
当時の焼けただれた姿のままで残されている。


戦争の爪痕をそのまま残す焼けた親柱

何度かの改修でも当時の姿で残された

カラフルにタイル舗装された歩道

歩道には”さくら”のプレートが

シンプルな橋灯

こちらは中柱の上に立つ橋灯

欄干の鉄板には”ねじり”が入っている

整然とした感じの桁下部分

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