指揮法教室

実践編その1

実践的なアドバイス? 実際にアドバイスして欲しいのは私の方なのですが・・・

 

後振りはだめよ

 よく見かけるのがこれ。実際に出ている音より、指揮が遅れている状態。(演奏者のテンポが速すぎるので、わざとそれよりゆっくり振る場合は除く)指揮をしているのではなく、音に合わせて腕を動かしている状態なのです。
 ダンス全般など、曲に合わせて、身体を動かすのは、だれもが経験していることですが、指揮の時はそれではいけません。逆です。ただ、アマチュアバンドの場合、そういう指揮でもお構いなしにどんどん曲が進んでいくからいいのですが、(これがはたしていいことなのか疑問?)もしプロのオーケストラだったら、冒頭の音が出た瞬間からすぐにテンポが落ちて、2、3小節で止まってしまうかもしれませんよ。

 

カッコ悪いのはだめよ

 カッコ悪いというと語弊がありますが、演奏会などで、指揮者のカッコ悪さが気になって曲に集中できない場合がけっこうあります。
 たとえば、がにまたというのかどうかわかりませんが、両ひざが曲がった時に足が蛙のように開いてしまったり、逆に両ひざが延びきって、少し前かがみで(ここまでは問題ない)お尻が極端に出てしまっているとか、あるいは両手を飛んでいる鳥のように両脇でバタバタしているようなものとか、ものすごく肩に力が入って、両肩が上がるだけ上がってしまい、首が埋もれているとか。
 ほんの一瞬それに近いような動作になるというのでしたら、我慢できますが、1曲のうちで、これらが、何回も、あるいはずーっとこんな感じだったら、やっぱり変ですよ。指揮というよりもコメディアンのギャグみたいで、笑いをこらえるのに必死になってしまいます。

 

予備拍のテンポと実際のテンポが違っちゃだめよ

 「サン、ハイ」あるいは、もっとていねいに「イチ、ニィ、サン、ハイ」という予備運動のテンポと次からの曲のテンポがまったく違う指揮者にも遭遇したことがあります。これでは、演奏者はとまどいますので、はい。

 

力が入り過ぎちゃだめよ

 「脱力」、これが難しいのです。スポーツでも、楽器をプレーするのも、これが一番難しいのです。すぐにできることではありません。まして、指揮法は腕の運動なので、これが直接関わりますので、ものすごく重要になってきます。
 という、難しいことではなく、ここでは、もっと単純に、腕だけではなく、身体全体に力が入ってしまい、そのあげくバランスをくずして指揮台の上でヨタヨタしてしまう指揮者を見たことがあります。指揮台から落ちないかと余計な心配をしてしまって演奏に集中できません。自分が立っていられないほど力をいれてはいけません。

 

身体の右側だけで指揮しちゃだめよ

 これもよく見かけます。確かに右手は身体の右側に付いているのですが、なにもそこまで右側で図形を描くことはないのにと思わずにはいられない指揮者。どうせなら、左手もずっと右手と同じように動かしていたほうがいいのではないかと思ってしまうような。でも、そうなれば、それも変なのですが。

 

予備運動は慎重にやらないとだめよ

「予備拍のテンポと実際のテンポが違っちゃだめよ。」も、この中に入りますが、ここでは、「予備拍を多く取りすぎてはだめよ。」という内容です。音楽は、音が重要です。曲の冒頭部分、指揮者は予備運動でテンポ、ダイナミックス、スピード感、音のニュアンスなどを示す必要があります。そのなかでも曲のテンポを安定させるために、4拍空振りや、2拍空振りをしてしまう指揮者が多いです。極端な話(私に言わせれば極端でもなんでもないのですが)通常、予備運動は1拍で充分なのです。
 たとえば、アウフタクトのない4拍子の場合、1、2、3と心の中でカウントし、右手が動き出すのは4拍目の瞬間でいいのです。4拍目に動き出してから(腕は上へ)、次の1拍目に腕が降りて来るまでが、1拍の長さですから、2拍目のタイミングは演奏者にも予測がつくはずです。このように、1拍の予備運動でテンポの指示は出せるのです。

 とくに緊張感のあるアインザッツを求める時は、私はこう振ります。ただ、ブレスの問題がありますので、そこは、また技を使う時もあります。(わざというほどのものではありませんが、これは、企業秘密?)

 

指示は点後ではだめよ

 点というのは実際に音の出る瞬間です。その音にたいする指示は当然その音が出る前にしないとだめなのです。
 たとえば、4拍子の曲で、ずーっとピアノのフレーズが続いた後、次の1拍目からフォルテになるという場合、4拍目の点後を今までと同じように振ってしまっては次のフォルテの指示が出せません。1拍目の点後をいくら大きく振っても手遅れです。4拍目の跳ね上げを大きく(4拍目の点前は大きくなってはいけないし、4拍目を強く叩いてもダメ)すれば、次の1拍目はフォルテになります。
 点後はもう次の拍の指示なんだということを理解して下さい。指示は1拍前にするというぐらいの気持ちでちょうどよいのかもしれません。

 

1本調子じゃだめよ

 演奏も指揮もいっしょです。表情がないとだめです。無表情な指揮では、演奏が表現力乏しいものになっても仕方ありません。さて、どのようにすればよいのでしょう。 

 

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