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35th Concert

 

山手西洋館 

アンサンブル山手バロッコ第35回演奏会

バロック・アリアと歌曲で味わう

イギリスのクリスマス

"Baroque Arias and pieces for Chiristmas

洋館で親しむバロックシリーズ 第16

2010127() 午後7時開演 横浜イギリス館

7
00pm 7th Dec. 2010 at Yokohama Igirisu-kan

主催: 財団法人 横浜市緑の協会 

出演 アンサンブル山手バロッコ 

わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。

森川郁子 (ソプラノ)
 Yuko Morikawa (Soprano)

 

桐朋学園大学声楽科及び同大学研究科2年修了。在学中より古楽の分野に関心を持ち、国内外の古楽祭に参加。2003年ウルビーノ古楽祭においてL・ベルトッティ女史のマスタークラスにてディプロマを取得。様々な声楽アンサンブルにメンバー、ソリストとして参加し、200912月に韓国においてP.ピエルロ指揮、古楽オーケストラによる「メサイア」にアンサンブルで参加。現在は「レックス・クレメンティエ」、「アトナリテ・クール」のメンバーとして活動する傍ら、オペラでは2009年よりヴェルディ『リゴレット』 (ジルダ役)で各地において10回の公演を重ね研鑚を積む。知られざる名作の演奏にも意欲的に取り組み、ルネサンスから近現代音楽まで、オペラや宗教曲、ソロ・アンサンブルを問わず多くのコンサートに参加。これまでにバロック期の声楽曲を小林木綿、鈴木美登里、原雅巳の各氏、ロマン派以降の声楽を牧川修一、石井美香の各氏に師事。日本ヘンデル協会、日本イタリア古楽協会会員。

 

橋弘治(バロック・チェロ)

Kohji Takahashi (Baroque Violoncello)

 桐朋学園大学音楽学部、及び、ブリュッセル王立音楽院古楽器科卒業。大学在学中よりソロ、室内楽、オーケストラで演奏活動を行う一方、バロック・チェロ奏者としてもバッハ・コレギウム・ジャパン等に参加する。1999年渡欧。イタリア、スペインの音楽祭に招かれ演奏し好評を博すほか、ブリュッセルとハーグ王立音楽院合同オーケストラ・プロジェクト演奏会やラ・プティット・バンドのヨーロッパ・ツアーにおいてソリストを務める。2001年から2007年までラ・プティット・バンドのメンバーとして演奏活動を行う。その活動はヨーロッパ各国、日本、そしてメキシコにまで及ぶ。2006年より活動拠点を日本に移し、現在は古楽器、モダン楽器の両方でソロ、室内楽奏者、オーケストラ奏者として演奏活動を行う。現在、桐朋学園大学音楽学部附属「子供のための音楽教室」東海(岐阜)教室、非常勤講師。これまでにチェロを中島顕、古澤渉、故山川郁子、倉田澄子の各氏に、室内楽を故ゴールドベルク山根美代子氏に師事。バロック・チェロを鈴木秀美、アラン・ジェルヴロウの各氏に師事。

酒井絵美子 (チェンバロ)
Emiko Sakai (Cembalo)

洗足学園高等学校音楽科を経て、同音楽大学ピアノ科卒業。ピアノを池谷淳子、冨岡英子の両氏に師事。在学中チェンバロに出会い、岡田龍之介、家喜美子の両氏に師事。故 小島芳子、A.プリャエフ、N.パール、M.メイヤーソン、E.バイアーノ、K.ハウグサンの各氏のレッスンを受ける。また、フォルテピアノの伊藤深雪氏のレッスンを受講。CD「篠原理華 リコーダー&ミュゼット」に参加。2009年横浜イギリス館、2010年山手234番館でソロ・リサイタルを開催。現在、チェンバロ及び通奏低音奏者として、日本各地で演奏、講習会のアシスタントを務める傍ら、ピアノ奏者として様々なアンサンブルに参加するなど、意欲的に音楽活動を行なっている。バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。

 


 

バロック・アリアと歌曲で味わう

イギリスのクリスマス

"Baroque Arias and pieces for Chiristmas

 

山手西洋館恒例の世界のクリスマスとイルミネーション。イギリス館では「イギリスのクリスマス」をテーマに飾付けが行われますので、イギリスのクリスマスの雰囲気いっぱいの西洋館にふさわしいバロックコンサートをお届けします。バロックを中心に幅広い分野で活躍中のソプラノ歌手、森川郁子さんとバロック・チェロ奏者、高橋弘治さんをお迎えし、チェンバロの響きとともに、イギリス最大の作曲家パーセルやイギリスで活躍したヘンデルの曲を中心に、イギリス所縁の音楽を、西洋館の雰囲気とともに味わいます。

 

ヘンリー・パーセル 
Henry Purcell

組曲 第6番 二長調 
Suite
 No.6  in D major  Z.667

プレリュード – アルマンド - (ホーンパイプ)
Prelude-Almand-[Hornpipe]
 

パーセル (1659-1695)は、イギリス音楽史上最大の作曲家。宮廷楽団の作曲家、ウエストミンスター寺院や王室礼拝堂のオルガニストを歴任し、王室向けの追悼音楽や祝典音楽も作曲するなど、まさにイギリス音楽界のあらゆる重要な地位を獲得しましたが、働き盛りの30代半ばで夭折しました。自由奔放、不規則なフレージング、拍子とリズムの衝突など、情熱に身をまかせるような作風であるとともに、幼少時に学んだエリザベス朝時代の音楽家たち(バード、ブル、ギボンズら)の様式とイタリア、フランス音楽の構成を取り入れ、独自の輝かしい個性を確立していきました。チェンバロ独奏のための組曲は全8曲残されており、すべてアン王女に捧げられています。前奏曲で始まり、当時の定番の舞曲アルマンドが続き、最後はイギリスの伝統的な舞曲ホーンパイプで締めくくります。

 

最も美しい島 オペラ「アーサー王」より
Fairest Isle  from
King ArthurZ.628

しばらくの音楽 劇音楽「オイディプス王」より  
Music for a while  from
Oedipus Z.583

最も美しい島は劇音楽アーサー王の曲でイギリス・ブリテン島を讃えます。しばらくの音楽は劇音楽オイディプスの中の曲で、音楽を聴くことで、すべての悩みが癒され奇跡のように痛みが消え去ること、そんな音楽の力を歌っています。

(歌詞大意)

最も美しい島

最も美しき島、すべての島にまさる島よ  喜びと愛のある場所  ヴィーナスはここにとどまることを選び  キプロスの森を立ち去る

キューピッドはお気に入りの国から 取り除くだろう。 不安や妬み 恋の情熱をむしばむ嫉妬や

            優しいささやき、甘くすねたり 愛の炎を焚き付けるため息 やわらかな拒絶、愛のこもった蔑み 苦しみといえばこれくらいなのだ。

恋に落ちた若者はみな その本分を果たし  おとめはみな感謝を示すだろう。  おとめたちは誰よりも美しいので 若者たちは恋で報われるのだ

(J.ドライデン 詩)

 

しばらくの音楽

              しばらくの音楽で あなたのすべての悩みをまぎらわせよう。 あなたはなぜ痛みが和らぐのか不審に思い、 楽しむことを軽蔑する。

復讐の女神アレクトが死者たちを 永遠の束縛から 甦らせ、 蛇が彼女の頭よりポタポタと落ち 鞭がポトンと手からすべり落ちるまで。

(J.ドライデン 詩)

 

ウィリアム・クロフト 
William Croft
 

グラウンド ハ短調 
Ground  in C minor

グラウンドとは、低音(グラウンド)の上に旋律が変奏されていく音楽様式のことで、フランスで多く作られた同じ趣向の舞曲であるシャコンヌやパッサカリアとともにバロック時代を通じて愛され、多くの作曲家が曲を残しています。クロフト(1678-1727)は、パーセルより少し後輩のイギリスの作曲家。この曲は長らくパーセルの作とされていました。11回繰り返される低音に、伴奏音形が重ね合わされ、その上に声楽のようなメロディーが変奏されていくという作りになっている佳曲で、作曲者が誰かにかかわらず愛されています。

 

ヘンリー・パーセル 
Henry Purcell

全音階のグラウンド ト長調
Ground
 in Gamut  in G major  Z.645

新しいグラウンド ホ短調
A New Ground  in E minor  Z.T682


続けて演奏されるパーセル作曲の2つのグラウンドのうち、全音階のグラウンドはト長調の低音の上に、変奏が繰り広げられる小品ですが、バスの旋律は、後年バッハが有名なゴールドベルク変奏曲で使ったものと同じです。2人の巨匠に響きあうものがあったのでしょうか?  新しいグラウンドはパーセルが1683年に作曲した歌曲「ここに神々はよしとし給う(Here the Deities Approve)」の編曲で、8分音符の低音の上に旋律が変奏されていきます。

 

バラの茂みの木陰から 劇音楽「ドン・キホーテの滑稽な物語」より 
From rosy bowers  from
The Comical History of Don Quixote” Z.578

前半最後に歌われるパーセルのバラの茂みの木陰からからは169495年に作曲された劇音楽ドン・キホーテの中に収められています。最晩年の傑作で、パーセルの絶筆となった作品。自分に無関心な恋人の気を惹こうと、狂気を装う利発でおちゃめな娘の歌で、この時代に好まれた狂気の歌(Mad song)の様式で、様々な段階の狂乱を劇的に描いています。

(歌詞大意)

ばらの花園の木陰から 劇音楽「ドン・キホーテの滑稽な物語」より

              バラの茂みの木陰から こちらへ飛んでおいで、かわいいキューピッド。 教えておくれ、穏やかな美しい調べを やさしい想いで わが心のひとを感動させる調べを。 ああ、音楽の神に声を整えさせて、 私の心踊るいとしのストレフォンの心を射止めるために。

 

            それとも活発で軽快な方が 効果があるなら 跳んだり、はずんだり、 地面をはねまわったりして 妖精のように軽快に踊ります。 かつてアイダの山で 三人の神が踊ったように きどった態度で、表情をつくり かっこうよく、優雅に踊って 美の女神のように夢中にさせましょう。

              ああ、そんなの無駄。すべては無駄だ。 死と絶望が、この免れがたい痛みを終わらせてくれるに違いない。 冷たい絶望が、雪と雨に姿を変えて この胸に降りかかる。 寒々とした風が大嵐となってなり、 全身の血管は震え、指は腫れて赤くふくらむ、 鼓動は葬列の拍を刻み、 哀れで愚かな心臓は凍り、 固い氷の塊となる。

              あるいは、神さま、安らぎを得るために、 凍るわが身を解かして 流した涙で水かさを増した 泡立つ波に溺れましょうか? 沈泥の床や水晶のような涙の枕に 恋に悩むこの頭を休めましょうか?

いや、いや、わたしはたちまち正気を失い、 心は激し、 ひとたび分別を失えば 愛には魅了する力がなくなり、 荒野を気が狂って走り抜ける 服は破れ、髪はこのようにふり乱して。 何千回も私は死ぬだろう。 こうしていつも、絶えずむなしく焦がれながら。

 

*** 休憩 ***

 

 

パスクァリーニ・ド・マルツィス 
Pasqualini de Marzis
  

ソナタ イ長調 
Sonata  in A major

ラルゴ-アレグロ-(ラルゴ)-メヌエット
Largo-Allegro-(Largo)-Allegro, Minuet

18世紀半ば、音楽の一大消費国イギリスの首都ロンドンにはジョヴァンニ・ボノンチーニをはじめ多くの優秀なイタリア人チェリスト達が訪れチェロという楽器を広めていきます。後半最初に演奏されるチェロ・ソナタの作曲者であるパスクァリーニ(1764年没)は、ちょうどその頃にロンドンを訪れチェロという楽器を普及することに貢献しました。本日演奏する曲は、「ボノンチーニと他の著名な作曲家たちにより作曲された2台のチェロのための6曲のソロ・ソナタ集(1748年ロンドン出版)」と題された曲集の中に収められています。

 

ジョージ・フリデリック・ヘンデル
 George Frideric Handel

「メサイア」より“シオンの娘よ、大いに喜べ” 
Rejoice greatly  from
Messiah HWV56

ご存じヘンデル(1685-1759)はドイツ人でしたが、イタリア留学で力を蓄え、イギリスに渡り成功し、英国人に帰化し、亡くなるまでイギリス音楽界で活躍しました。 1742年に初演されたメサイアは、 旧約・新約聖書の聖句を題材に、1611年の欽定訳聖書の力強く豊かな英語とジェネンズの全体構成の見事さが、この作品を際立たせています。メサイアは、ヘンデルの生前も死後も、今日に至るまで最高傑作として評価されていますが、この優れたテキストに、ヘンデル定番のいきいきしたアリア、ダイナミックな合唱の組み合わせを適用しただけでなく、この作品の深い宗教性に答え、ヘンデルの他の作品に無いような一貫性と集中力がみなぎっているからに他ならないと思います。ヘンデル自身も「私は眼前に天国と偉大な神の姿を確かに見たように思った。」と言ったとも伝えられています。メサイアは、3つの部分、「予言」、「受難」、「復活」からなっていますが、アリアシオンの娘よ、大いに喜べは、最初の予言の部分に含まれるソプラノアリアです。主の降誕の知らせが,シオンの人々に伝わっていき、主を迎える喜びが、伴奏(原曲はヴァイオリン)とソプラノ独唱の飛び跳ねるような音形で象徴的に歌われます。中間部は短調に転調し、救い主の意味を表情豊かに歌います。

(歌詞大意)

シオンの娘よ、大いに喜べ

大いに喜べ、シオンの娘よ、 声をあげよ、 エルサレムの娘よ。 見よ、 あなたの王がそこに来られる。 そのお方は 義なる救い主であり、 異教の民に平和を告げるだろう。

(聖書『ゼカリア書』 9:9-10

 

ジュゼッペ・サンマルティーニ 
Giuseppe Sammartini
 

ソナタ イ短調 
Sonata  in A minor 

アンダンテ-アレグロ-メヌエット
Andante-Allegro-Minuet

ジュゼッペ・サンマルティーニ(1695-1750)はイタリアのミラノ生まれの作曲家であり、当時「ヨーロッパで最も優れたオーボエ奏者」と讃えられたオーボエの名手でした。1728年頃にロンドンへ渡り終生ロンドンで過ごします。彼はヘンデルのオーケストラでも演奏しており、ヘンデルのオペラの自筆譜には難しいオーボエ・ソロのパートにサンマルティーニの名前が残されています。このソナタはサンマルティーニが好んで用いた緩徐楽章から始まる3楽章形式の後期バロック様式で書かれています。先のパスクァリーニの曲と同じ曲集の3番目に収められています。

 

ジョージ・フリデリック・ヘンデル 
George Frideric Handel

 カンタータ「いとしい孤独、愛する自由」 
Cantata "Solitudini care, amata libertà" HWV163

ヘンデルは、イタリア時代を中心に150曲以上のイタリア語のカンタータを作曲しています。カンタータは多くが独唱と通奏低音の編成で、愛にかかわる歌詞をもつ、音楽劇のような内容になっています。「いとしい孤独、愛する自由」は自筆楽譜が残っていませんので詳細は不明ですが1711年にロンドンにて作曲されたとも考えられます。ヘンデルはその前の年に初めてロンドンに渡り、翌年2月にオペラ《リナルド》を初演しますが、このカンタータとオペラ《リナルド》とは密接な関係にあり、第2曲目のアリアは《リナルド》の中のアリアに転用されています。第1曲目のレチタティーヴォとアリアでは、愛に対する失望感に苛まれた心は自然によってのみ癒される、と歌います。この最初のアリアは2拍子で書かれ、ソプラノと低音が対等に掛け合います。次のレチタティーヴォでの悲しみを乗り越えた勝利の宣言を経て、終曲のアリアで不幸な自分を克服し栄光へと向かう気持ちを、技巧的装飾やトランペットを思わせるような音型で表現しています。     

(歌詞大意)

カンタータ「いとしい孤独、愛する自由」

 

レチタティーヴォ

いとしい孤独、愛する自由よ なんとお前を慕うことか。 どんな宝も 華やかさも名声もいらない。 この魂の安らぎだけを探し求め、愛を遠ざける。 

私の喜びと楽しみは 美しいせせらぎとなって、 若草や小石の間をサラサラと流れるだろう。 小鳥の歌声や、草原のきれいな花々が、 私をこの上なく幸せにする。 ここではうっとうしい煩いもなく、 中傷や不運、策略、 無数の欺きに傷つくこともない。 望むのは、こうして静かに時が過ぎ、ただ天に、 幸せを切に願うだけ。     

いとしい孤独、 愛する自由よ なんとお前を愛することか。

 

アリア

人の希望よ、お前は嘘つきだ。 小川が干上がり、花が萎れ、 小鳥が飛び去り、死んでしまうように 幸福は一瞬のもの。

              苦しみなくして 喜びはなく 悲しみなくして 楽しみはない。 望めば望むほど、 満足は減るものだ。

 

レチタティーヴォ

名声の栄光が 世の人の胸をふさぐ。筆か 武力 能力、または勇敢さで その名をとどろかせる、 生きてそれが成らぬなら、死後には名声を得ようと。            

世の中で埋もれて私は不幸だなどと、 私は有名になることなど望まない。 けれども、運命に逆らい 自らに打ち勝つことはできるのだ。 「生まれながらにして不幸だった」そんな思考に打ち勝つことで、無敵となれるのだ。

 

アリア

戦場での輝かしい栄光、 それは、 無敵の軍勢を破り、 罠を仕掛けた者を打ち倒すこと。

だが、より栄光に満ち 幸いであろう、 自らの思考に挑み、 自らの感情を制した者は。

 

 

 

アンコール

どうもありがとうございました。

沢山の拍手をいただきましたので、

グリーンスリーブスによるディビジョン

をお送りします。

 

 

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