安土城(滋賀県安土町豊浦)

 安土城は織田信長の築いた城として有名である。安土城周辺にはあちこちに案内表示があるので、場所はすぐに分かる。六角氏による観音寺城のある繖(きぬがさ)山が北に派生した尾根に城が築かれており、観音寺城はあるいは詰めの城として意識されていたのかもしれない。

 さて、安土城に関しては各種の縄張り図や発掘報告書なども出ているので、それらから想像して鳥瞰図を描いてみた。しかし、この城は対入り禁止になっている区画が非常に多いので、本当にこのとおりになっているかどうかをすべて確認したわけではない。

 途上口は総見寺跡に上る百々口と大手口との2つがあるが、近年、大手口が発掘されて、長年埋もれていた登城道の石段が復元されていて、旧状をしのぶことができる。この大手道脇には、羽柴秀吉邸、前田利家邸などといった、石垣造りの家臣団屋敷などが配置されている。ただし、この○○邸跡というのは、あくまでも伝承に基づくものであって真実、その人物の屋敷があったのかどうかは定かではない。

 城の中心部には天守台が残されている。この天主台は、「信長公記」によると「石くらの高さ12間」とある。つまり天守台の高さは22mもあったという。しかし現状では天主台は10mほどの高さしかない。また「北南へ20間、西東へ17間」とあるが、実際にはこの広さもない。どうも、現状の天主台は旧状とは違う気がする。実際に天守台の北側には石垣が残っておらず、実際にはもっと大きかったのかもしれない。天守台には礎石も残っているが、この礎石も妙に凸凹しており、礎石に使えなさそうな石もある。後世改変されているのであろう。ここには石倉(地下階)も含めて7重の天守がそびえていたといわれるが、その外観は、あれこれ想像されてはいるが、いずれも決定版とは決めがたい面もある。

 天守台に到達するための道はいくつかあるが、黒金門から入ってくると、石段による登城道は何段にも折れを持っている。これらの折れが石垣による桝形をも形成しており、中心部に迫ってくる敵を各方向から攻撃されるように工夫されている。このような構造こそが、織田系の城郭の当時の最先端技術であったと見てよいだろう。この折れは天守台の北側の、八角平へと続く道ではさらに顕著である。この方向への道はカクカクと見事に折れ曲がっている。

 城の東南には総見寺の跡がある。現在では山門と三重塔しか残されていないが、かつてはここには壮大な伽藍があったのであろう。総見院は信長の院号であるが、寺院そのものは城が存在していた時からあったものらしい。寺院を自分の居城の中に取り入れるというのは、無神論者であった信長の所業としては不思議な観もあるが、何かの意図があったものかもしれない。

 安土城は信長の本拠地ではあるが、基本的には山城であり、特に本丸周辺の面積は大大名の居城としてはとても小さく感じられる。また、このような山城を居城とすること自体が、先進的な感覚の持ち主であった信長の発想としては古臭いような気がしてならない。本来信長は、本願寺のある大阪辺りに本拠地を移す計画を持っていたという説もあり、この城は、これだけ壮大な城でありながら、終(つい)の棲家ではなく、一時的な本拠としてしか意識されていなかったのではないかとも言われる。案外その発想があっているような気がするのである。

安土城の大手口。発掘調査が行われているようだ。 大手口の石段。両脇には深い溝がある。以前来た時にはこんなに石段がはっきりしていなかったが、発掘によって、旧状が復元された。
伝羽柴秀吉邸跡。大手口の両脇には屋敷地が並んでいる。 黒金門の枡形。ここを上がると長谷川秀一邸の跡である。
二の丸に上がる虎口と石垣。 二の丸にある信長廟。
天守台。これだけの石垣を築けるのにどうして四角形にしなかったのか不思議である。現状では北側には石垣は無くなっており、石倉の高さもかなり低くなってしまっている。 今回参加のレジャー隊メンバー。夜通し走ってきて、早朝ここに着いた。天守台で朝食を食べたのであった。
天守台北側の搦め手口。石垣には何段にも折れが入っている。 八角平の石垣。高さ6mほどはある。
総見寺跡から見た風景。比高100mほどだが景色はとても良い。かつてはこの下まで琵琶湖が入り込んできていた。 総見寺に残る三重塔。
岐阜を本拠地としていた信長は、天正4(1576)年、丹羽長秀を普請奉行として安土城を着工し、天正7(1579)年には完成させたといわれる。その後天象10年に、明智光秀による本能寺の変があり、信長が死亡すると、安土城も火をつけられ燃やされてしまった。それ以降は廃城となってしまう。したがって安土城は天正4から10年までの期間での織田系の城郭の最先端の技術を知ることのできるまたとない城跡であるともいえる。

*関連サイト  近江の城郭  埋もれた古城  安土城復元案





















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